【下町FP】メンタル・アカウンティングで貯蓄力UP
あなたのお金の悩みを解決し、マネーストレスフリーを支援する下町FPの横谷です。
今日は貯蓄成功の秘訣についての話です。メンタル・アカウンティングという言葉を知っていますか。
マーケット用語のひとつで、行動経済学の話です。人がお金に関して意思決定する際、無意識に行う行動のひとつ。「心の会計」とも呼ばれています。
お金を全体としてとらえるのではなく、自分の心の勘定科目をつくり色分けし、その勘定科目の範囲の中で損得を判断してしまう心の動きの事です。
そのため、時に不合理な選択をする傾向があり、その心の動きを事前に理解しておくことが、貯蓄形成や資産運用で大きな助けになります。
メンタル・アカウンティングを知り、貯蓄力UPに応用しましょう。
可処分所得が同じでも貯蓄力に大きな差
メンタル・アカウンティングは行動経済学の権威でノーベル賞を受賞したリチャード・セイラー氏が提唱した考え方です。
この用語を直訳すると、メンタル=心と アカウント=口座の合成語であることが分ります。
少ない給料で一所懸命貯蓄しようとしているのに全然できない。
給料はたくさん貰っているのに、ほとんど散財して貯まらない。
このふたつは違うようですが、心の中に共通点があります。貯蓄高が多い方は収入が多いとするのは、ある意味間違った誤解です。
所得があるために豚バラの生姜焼きが和牛のステーキに変わるだけで財布に入っているものを使ってしまう習慣がついている方は貯蓄形成に苦労します。
実際、1000万円所得でも貯蓄ゼロの方や300万円所得でも2000万円貯蓄できる方もいます。可処分所得は大きく違うのに貯蓄との相関がない方は何がいけないのでしょうか。
以前も話しましたが、平均的な生涯賃金は2億~2億6千万円となっていますが、貯蓄差は賃金との明確な差が出ないケースもとても多いのです。
この大きな金額の最低7割は可処分所得となります。そのお金はどこに行ってしまうのでしょうか。
ちなみに可処分所得を簡単に言うと、給料の中から生活費に回せるお金のことで、年収の約8~7割といわれています。つまり、約2~3割は毎月の給料から差し引かれているものがあるということです。2億なら7掛けの1億4千万円が可処分所得とも考えられます。
ではその額面支給額から引かれているものの正体を見てみましょう。
可処分所得= 給与ー(所得税+住民税+社会保険料)です。
ちなみに給与とは、手取りでなく額面金額の事です。
例えは、額面給与が30万円だとして、可処分所得(=手取り)は25万円だったという場合には、月給30万円から、所得税と住民税と社会保険料の合計5万円が引かれているということです。
この可処分所得をどう何に使うのかによって貯蓄ができる、できないが決まります。逆に言えば、貯蓄が出来ない方は、給与の可処分所得やボーナスを使い切っているという事なのです。
メンタル・アカウンティングの事例を考えてみた
こんなことが私たちの日常での頭の中で実は行われています。
事例です。
賞与が入った→臨時所得だし良かった→何か買ってみよう→浪費しやすい
一方、
給与が入った→毎月の労働の対価だな→大事に使わないと
宝くじが当たった
メルカリで売れた→どうせ、あぶく銭だ→使っても勿体なくないな
ギャンブルで勝った
スーパーで130円の卵を遠くまで買いに行く→30円安く買えてよかった
一方
旅行でレストランに行く→せっかくだから2400円の定食を食べよう
現金の支払いはお金が目に見える→大切に使おう
一方
カードやPay支払いでok→ちょっと買ってみようかな
2万円のジャケットを悩んで買った→お金使いすぎたかなぁ
一方
帰り道でケーキを買うのを200円削る→今日は節約しよう
普段1000円のコーヒーと出会う→こんな高いものとても飲めないな
一方
旅行先のホテルで1000円のコーヒー→せっかくだから飲んでみよう
6300万円・7300万円の住宅のチラシを見た→高いな、とても買えない物件だ
一方
その後4300万円の物件を見る→安い、お買い得物件かもしれない
同じお金なのですけれど、合理的な判断や考え方が出来ず思わず使ってしまいます。こんなことってありませんか?
これが、メンタル・アカウンティングなのです。
同じお金でも日常の中で私たちは、「元々なかったお金」に分類する「労働所得」は大事なものと分類としたり、「棚ぼた所得」の枠組をつくり分類したり、「特別な支出」として区別したり、頭の中でいつの間にか「枠をつくったり、色を付けたり、分類したり」しています。
頭の中に作った個別の口座の中で、損得やバランスを取ってしまう事が簡単に起こり、結果として余計なお金、無駄遣いしてしまうのです。
心の口座をつくらせない生活の工夫
このメンタル・アカウンティングの正体は判っていただけましたか。では私たちは、これにどう対応すればいいのでしょうか?
日常の生活でこれらを意識しながら、影響の出にくい日常生活を送る事です。
日常生活で留意しておく点
- クレジットカード払いは心理的ハードルが低いと意識
- 電子マネーも同様
- Psy払いも同様
- スマホの使いすぎも同様、課金も
- ポイントを理由にに無駄な買い物をしない
- クーポンも同様、消費の動機付けを誘発します
これらはお金が姿を変えたものなのですが、実感がない為に購買のハードルが低くなりがちです。翌月の請求書を見て後悔した経験はありませんか。それですね。
この見えない現金への対策は『現金決済 』をすることです。根性があればマネーフォアードアプリを入れて家計管理も方法ですが慣れて機能する迄は大変でしょう。それから使う電子マネーに対しても枠を決めてしまうのも方法です。予算が大事です。
そうは言っても全てキャッシュレス現金ゼロと言うわけにはいきません。取り組めることを少しあげていくと
対策
- クレジットカードは根来敵を決めて1枚~2枚のみ、ポイントやマイルに拘らない
- 交通系電子マネーでの買い物はしない
- カード・Pay払いもキャンペーンに乗らない予算枠設定
- スマホ通信も予算を決めて使う癖をつける
このように会計が分離しにくい対策を予算管理という心の会計を自分のに作ることが、支払いオーバーにならないポイントでしょう。
メンタル・アカウンティングを応用して貯蓄形成
冒頭、可処分所得の話をしました。ざっくり給与の7割くらいが自由に使えるお金。生涯年収2億円とするのなら、1億4千万円が該当します。この金額を何に使うのかはあなた次第です。
では逆にこのメンタル・アカウンティングを理解して、自身のお金への心理バイアスを少しでも取り除くことができれば、
貯金や資産形成、投資判断にも活かすことができます。
その方法は、貯蓄すべきお金として『色をつける』方法で、メンタル・アカウンティングの応用の一種とも言える方法です。
給与の振り込み日に一定金額を全く別の口座(セカンドバンク)に移動する。Good!
- 見えなくなることで消費の枠から外れます。
- 貯蓄と言う色が付いて、消費の思考からそのお金は外れます。
- 残された予算で生活する習慣が身につきます。
また、ボーナスが入ってりするとついつい気が大きくなり、お金を使ってしまいますよね。
例えば、
- 普段買わない高級品や家電を買ってしまう
- 洋服などを買ったついでに、いろいろとついで買いをしてしまう
- 生活にに余裕がある気がして、財布の紐がついつい緩み、ついで買いを連発
- その結果、あまり貯蓄や投資に回らなくなり散財する
せっかく『給料』を節約しているのに、ボーナスは給料ではないという分類をしてしまい『余禄的なもの=特別なもの』として認識してしまい、同じお金なのに違う色のお金と付けてしまっていることが原因です。
ボーナスに対するメンタル・アカウンティングの影響をなくすには、貯蓄と言うメンタル・アカウンティングを履行する事です。
『ボーナスの◯◯%を、〇〇万円を貯金口座に移動入金する。残りをボーナスとして使う』ことが貯蓄形成のポイントです。
『セカンドバンク口座に移動する』『積立預金』のも良い方法です。
人生に必要な貯蓄をつくる
☞ポイント
貯蓄が出来ないのも、応用して作るのもメンタル・アカウンティングが影響します。
- この理論を理解すれば、逆手にとった資産形成を進めていくことができます。
- 浪費・散財を抑え込むという事は、貯蓄資産形成につながる事だと知りましょう。
- つねに心の中に罠が潜んでいる事、資産形成という心の枠、分類をつくってください。
みなさんも日常に潜むメンタル・アカウンティングの影響を受けている行動を整理してみましょう。
この影響を少しでも小さくできると、浪費も抑えられ資産形成が進み出します。
そしてその貯蓄の種銭を投資のタネ銭にすることができ、資産形成が複利的に加速すると思います。
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