新NISA戦略23 効率的に資産を増やすには資産運用というツールがやはり王道 【独立系FPブログ講座】



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効率的に資産を増やすには資産運用というツールがやはり王道


40代からでも金融資産5,000万円をつくることができます。少子高齢化社会でも安心できる老後資金確保や人生の目的資金づくりもステップを踏むことで実現できます。


2024年に少額投資非課税制度NISAが変わります。一般NISAとつみたてNISAが統合された『新統合NISA』に生まれ変わり、これは追い風です。


資産形成は早く始めたほうが圧倒的に有利ですから、時間を味方にする大きなチャンスだといえます。お金にまつわる様々な有用な知識を独自の視点や切り口で独立系FP&非販売のFPがシリーズで解説します。


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NISAシリーズ表紙



FPブログ解説    家計金融資産2,000兆円の行方と新たな所得倍増政策


NISA23


年間400万円のインカムゲインを受け取る独立系非販売のFPが、さまざまな運用の常識とされている投資方法やリスクを斬り、本当に安定的なFIRE=経済的自立を確立させるFPブログ講座シリーズが好評の後に終了しました。


新たなシリーズがスタート、テーマは、『40代からの金融資産形成5,000万円 新統合NISA』シリーズです。今回からは『第四章 新統合NISAと運用の基本を学ぶ』が始まります。今回はシリーズ第23回目のお届けです。


『経済的自由の実現!! 年間400万円超えインカムゲイン獲得』2021年運用を総括


あなたのお金の心配を解消してマネーストレスフリーを支援する下町FPの横谷です。


弊FP事務所でコンサルを受ける方の資産形成の目的は様々ですが、iDeCoやFIREというテーマや今回の新テーマNISAなどの関心が高い方が多く、やはり相談者様は資産形成への関心がとても高いと感じています。


資産形成が必要な代表的な理由は


  • 超低金利が続くために運用を検討している(マイナス金利や低金利が続く)
  • インフレリスクが高まっている(原材料高騰での物価変動負担の増加)
  • 賃金が増えていない(2000年以降から賃金の伸びが減少、インフレ加味ではマイナスが続く)
  • 老後生活への漠然とした不安(少子高齢化に伴う年金減少や破たんへの懸念)

このような意見をお持ちな方が多いと感じています。


一方、日本銀行の発表(2022年3月)によれば、個人家計の金融資産にあたる「家計の金融資産残高」は2021年には遂に2,000兆円を突破したとの事で、株式などを除く現預金はその半分だとしても、1000兆円はありそうです。


これは国民ひとり当たり1,600万円にも該当する金額(赤ちゃんも含む1億2千万人で計算)だと算出できますが、日本人は皆そんなにお金持ちになったという実感はない筈です。


残念ながら1億総中流の時代から、ここ20年近くの所得格差によって、金融資産2極化の時代が到来していると類推できるのではないでしょうか。この違いは所得格差であったり、投資向けの金融資産の格差が進んだ結果だと判断できます。


この金融資産の積み上げの違いを調査してみると、実は株式などの拡大性流動資産に投資されている方とそうでない方との違いがデータからは考えられるのです。


多くの方が定期預金などの無リスク・ほぼ無金利資産にプールされて、銀行の中で塩漬け状態のままになっているのです。これが金融資産2極化の大きな要因だともいえます。


岸田政権は2022年に「資産所得倍増プラン」政策を打ち出しました。過去は1960年に池田政権が 「所得倍増計画」というプランを打ち出しています。


池田内閣当時、「10年間で日本人の所得を2倍にする」という計画を打ち出したのですが、高度成長期でもあり、風にも乗ってか10年で所得は本当に2倍になり達成しました。


岸田政権では「金融所得」に焦点を当てた施策の目玉として、2024年1月から始まる新たなNISA制度を発表、「金融所得倍増」を狙っていますが、今後"投資をしない強制的な貯蓄体質"からの変換が国民にできるかが焦点になるでしょう。


NISAのロゴと夫婦


ある意味この新しいNISA制度は、国民の自助努力で「貯蓄から投資」へとシフトして、「資産所得倍増」を各自が狙う政策であり、国民各自が資産形成に臨む政策だともいえ、政府はその箱を提供したに過ぎないといえるのです。


この新統合NISA(少額投資非課税制度)とも呼べる制度やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度改革を行った結果、利益の恒久非課税措置や税制優遇の提供が金融資産拡大や資産形成につながるかは、私たち一人ひとりり行動に掛かっているのです。


40歳からの金融資産形成5,000万円をテーマにした本シリーズの第4章では、新統合NISA運用の前に資産運用の基本をマスターしてからスタートすることが、マーケットから退場しにくい体質や知恵に繋がるとされており、この章では運用の基本を学びます。


下町FPブログ・メルマガ講座は、FP視点からの簡単なワンポイントで情報を整理し、お金のお得情報をお届け発信をしています。



資産形成には資産運用が本当に不可欠なのか?


そもそも貯蓄を中心とした金融資産を行ってきた日本人が、日本の環境下で資産形成を進めるのに投資が必要なのでしょうか?


先ほど家計金融資産の2極化の要因の一つに株式などの金融商品への投資の有無が考えられると申し上げました。


ただし気を付けなくてはならない事があります。それは資産形成と資産運用とは少しニュアンスが違うという事です。


つまり資産形成とは、資金を貯めていくという「目的」を表しており、資産運用は資産を増やすために金融資産などへの投資行為を行うことを指しているのです。


これは「目的」とそのための「手段(行為)」を指していて、その手段はひとつではないという事で、各個人が手段を選択することになります。


資産形成のための手段(行為)

  1. 預貯金
  2. 外貨預金
  3. 財産貯蓄
  4. 積立定期預金
  5. 貯蓄型の各種保険
  6. 個人年金保険
  7. 株式投資
  8. 不動産投資
  9. その他投資 

選んだ手段で結果が違ってきます


貯蓄とはお金を蓄えることで、銀行預金などがこれに当たります。一方、「投資」とは利益を見込める金融商品を購入する行為がこの「投資」に当たり、投資は貯蓄よりもリスクが高い分、資産の変化スピードが高く、これを資産形成に活用するのです。


残念ながら金利が高かった時代は、預貯金の金利やそれに連動した金融商品や保険を購入すれば、資産は拡大した時代がありました。


その世代は1950年代の高度成長での成功体験となっており、自分の子にもその体験を伝えた結果、金利環境が大きく変わっても、貯蓄型の保険や預貯金が幅を利かせているといえるのです。


2022年からコロナ禍後の人件費の高騰や原油価格の高止まり、ウクライナ戦争、日本のファンダメンタルズを反映し出した円安、輸入資材の高騰をベースに国内でのインフレが台頭しています。


この影響を日本ももろに受けているものの、光熱費や生鮮品の高騰、工業製品の値上げをベースとしたインフレが発生しています。デフレ下で長期に過ごした日本人や企業は中々対応できていない状況が続いています。



政府も組合があるような上場企業に対して賃上げを要求・誘導した結果、連合の最終集計結果(7月3日集計)によれば、ついに平均3.58%の賃上げになり、連合としては1993年の3.90%以来の高水準となったのです。


まずこのデータの誤解は一部の組合だけの賃上げのみになっており、統計を取らない多くの中小企業では賃上げやベースアップすらできないという2極化が存在していることです。


3.58%の23年春闘のこの賃上げは、足元の実質的なインフレに対して物価上昇率を前提に考えると、実質ベースでは定昇込みでもマイナスに沈んでしまいます。これでは個人消費は上がらないでしょう。


この実質賃金ですが、この2023年10月に公表された8月分の実績値でも低下が続いており、何と17か月間も連続で低下しているのをご存知ですか。


つまりこの程度の賃上げでは、収入が増えても消費が盛り上がることはありません。またインフレに負けるのは賃金収入だけではなく、もっと負けているのは金利による収入です。


これでは「金融資産倍増」どころか「金融資産減少」すら起こしかねない状況です。そこで登場したこの「資産所得倍増プラン」は、NISAやiDeCoといった税制優遇制度などを活用しての積極的な投資を後押しする仕組みです。


国民の保有資産を活用しての日本経済の活性化策ともいえそうですが、この政策が成功すれば、国にとっても国民にとっても大きな利益がもたらされるのも事実です。


その"手段"とは株式による資産運用であり、そのエンジンとなるのが新統合NISAであり、冒頭の金融資産の2極化の恩恵が多くの国民に届くのかは、今後の皆さんの投資行動に掛かっているといえそうです。


NISAに投資するだけでは資産は増えないって本当か?


2024年1月から今まで個別株式やREIT、ETFや外国株式などを投資していた「一般NISA」と毎月一定額を投資信託などで運用していた「つみたてNISA」の機能が一体化した新しいNISAがスタートします。


このNISAでの運用でしたら利益が出ると安易に考えるのは大きな誤解です。NISAは「少額投資非課税制度」とされているだけで、利益が出なければ元々課税されることはありません。


たとえば投資信託に投資して50万円の元本の評価額が70万円に増えたとします。つまり20万円の未確定の利益が出ていると考えられます。


この銘柄を全て売却した時には利益が確定され、売却金額から元本を差引いた利益として利益確定がされるのですが、通常は所得税や住民税が課税される部分に対してNISAは課税されないということです。


あるいは成長投資のNISA枠(一般NISAと同等)で配当銘柄を購入、年間2回の配当を受け取れば、これは確定利益となって通常は所得税と住民税が課税されるのに対して、NISAは課税されないだけの話です。


たとえばつみたてNISAは金融庁の基準をクリアした商品に限られているのは事実ですが、それと資産運用が成功するのとは違う次元の話です。


つみたてNISAは、長期の積立・分散投資に適した投資信託を一定の基準で金融庁がホームページで商品を掲載しています。例えば公募株式投資信託の場合には、以下の要件をすべて満たすものになっています。


FPが開かないする姿のポーズ


つみたてNISA(株式投資信託)の金融庁基準


  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合なら0.5%以下)に限定
  • 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知する
  • 信託契約期間が無期限または20年以上である
  • 分配頻度が毎月でないこと
  • ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
  • 手数料も低い商品に限定される

こうした部分を“国のお墨付き”と勘違いしている人が多いのですが、これはあくまで長期投資に適した環境に合致した商品だということだけなのです。個人的には多少マシな投資信託なのかなと言える程度だと思っています。


つまりこの金融庁の基準とは、しっかり分散投資がされていて、金融機関の手数料が低く、長期的に運用が安定していると考えられる基準を提示しているだけの話です。決して金融庁のお墨付きなんていうものではありません。


NISAは投資である以上、リスクは避けられませんし、損失を抱えながら運用している方もたくさんいらっしゃいます。ですから投資に対する基本だけは早く理解して、市場から退場しにくい運用や耐性を持つ事が大事だといえます。


利益が出た時だけお得な制度がNISA


新統合NISAはその名の如く、少額投資非課税制度であり、利益が出た時だけに課税されないというメリットを享受できる仕組みです。新統合NISAまでは少額と言っても1,800万円元本までは非課税に移行します。


どんな投資信託を選定するのか、いつ買うのか、どのタイミングで買うのかなどによっても大きな差がでてきますし、株式などはかなりの幅の範囲で購入することが出来ますから、ご自身での投資方針を決める必要も出てきそうです。


今回、恒久非課税という『金融資産倍増』に相応しい制度設計になったことで、年齢や資産状況に照らし合わせた資産運用が恒久で出来るようになりました。


この制度の利用は。証券会社との口座開設だけでも開始できますが、資産運用ですからリスクは避けられません。また逆にリスクがあるからこそ、資産が増えてゆくと言っても過言ではありません。


NISAは、投資効率を利益が出た時に出せるだけの制度です

もちろん生涯恒久非課税のメリットは確かに大きいのも事実

NISA運用の前に投資の基本を理解しておくことをおすすめしています


貯蓄ではできない資産運用によって資産が拡大する確率は高く、やはり資産形成の王道は株式投資であり、NISAはその部分を補助的に支える仕組みだといえそうです。


この第4章では、資産運用の基本となる考え方をしっかり理解していただき、新しいNISA(筆者は一般NISAとつみたてNISAのふたつの機能が一体化したので新統合NISAと命名)での資産形成、「金融資産5,000万円」を目指してほしいと考えます。


次回新統合NISA24に続く


貯蓄から投資へ、金融資産倍増政策の元でさらにパワーアップした新統合NISAがスタートします。しかし利益が出ての非課税制度であること、その前に運用の基本や知識をもっと持つ事が市場から退場しないツールになる筈です。



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